2014年12月25日木曜日

新らしい院長の著書が発売されました。

12月24日 今年2冊目の院長の新しい本が発売されました。「息切れ」を極めるという本で、なぜ今まで通り運動できないのかという疑問から、どのような病気が考えられるか、どう対処すればいいのかという内容になっております。毎朝5時から7時の2時間3カ月かかって書き上げました。前作は、おかげさまでamazon.comのベストセラーとなり、喜んでおります。新しい本は、どのような、ご意見を頂けるか楽しみです。

2014年11月19日水曜日

拡張性心不全の考え方~ジュニア・レジデントの先生方へ~(1)

最近、執筆活動が多忙で、ブログを気づけば、一か月半も休んでいました。今朝、12月発行の新書の脱稿を終えたので、新しいシリーズを開始します。

心臓はポンプです。全身が必要な酸素をエネルギー効率よく赤血球にくっつけて血液として送り出しています。たとえば、健常人では左室に血液が10はいって、10出せるとしましょう。大きな心筋梗塞を起こした後など左室がうまく血液を送り出せない左室収縮能が落ちた心不全(収縮性心不全)の場合、血液が10はいっても2しか左室から出せないということが起こります。では、10血液が左室に入れば10出せるのに、2しか入らないから2しか出せない心臓があったとしましょう。左室の血液を送り出す(emptying)というポンプ機能は保たれているけれど、左室が血液を取り込むこと(filling)ができないので、血液を送り出すことができない病態が考えられます。左室の血液を送り出す能力を左室収縮能、左室の血液を取り込む能力を左室拡張能と言います。左室収縮能が悪ければ、血液を出せない、すなわち一回拍出量(stroke volume)をだせませんが、左室収縮能がよくても、左室拡張能が悪ければSVを出すことができない、同じような病態が起こりうるわけです。これが、典型的な拡張性心不全となります。

ただし、厳密には左室収縮能と拡張能とは密接にリンクしており、ピュアにどちらかだけ障害されているというのは少ないです。拡張性心不全で見た目の収縮能はよくても、長軸の動きが悪い心臓はたくさんあります。収縮性心不全は必ず左室拡張能は低下しており、拡張性心不全も大半は左室収縮能が低下しています。実際は、どちらの機能異常が前面に立っているかで分けているということも、覚えておく必要があるでしょう。

2014年9月30日火曜日

新刊書

心機能に関するこのブログを出版しないかというお話を頂き、9月25日初めて単著で医学書を出版しました。


 今まで、共著としては、今年だけでも3冊、今までに数十冊くらいあるのですが、単著は初めてです。心不全の中でも、どのように心不全を診るかに最も重要な要素の一つである心血行動態の本で、心不全の治療を若い先生に理論的に行っていただきたいという想いで書きました。

 初めて、担当編集者がつき、原稿を追われるように書かされ、といっても期限を破る自分が悪いのですが、本を作っていく過程は面白かったです。朝型なので、毎朝5時に起きて、7時まで執筆し、犬の散歩をして、通勤という毎日でした。後半に行く程時間がせかされていたので、前半に比べやや雑な感じがするのがお恥ずかしいところです。

 売り上げも好調で、発売から1週間目で、amazon.comの心臓で1位、循環器で2位、内科全般で9位、医学書全般で22位と好調で、循環器の先生方の指示していただいているのを、感謝しております。(http://www.amazon.co.jp/gp/product/484045003X)

 印税のことをよく聞かれるのですが、医学書で、循環器の専門書ですので、読者数が少ないので、売れたと言っても、しれているため、経費と出版社の利益を考えると最低限の印税です。書くのに費やした時間を考えると、対価としてはいかがなものかと思いますが、それ以上に重要なものがあります。

 自分の考えが正しいかどうかご批判頂けるという点です。それによって、また勉強して患者さんに還元できる。医師というのは、自分が賢くなるために勉強することが、患者さんの役に立つという素晴らしい仕事だと思っています。

 これからも、この知識を患者さんの心不全治療に有効に役立て、また若い先生達に指針となるよう講演や執筆も外来診療と併せてしていきたいと思います。

 12月に発売の新刊書の執筆に先週から5時起きで執筆しております。今度は、内科の先生全般に必要な知識をまとめていくつもりです。みなさまの引き続きのご支援お願い申し上げます。

2014年9月1日月曜日

心機能について思うこと(14)~若き循環器医へ~

院長の新しい著書で初の単著の本が9月末にでることになりました。専門書ですので、一般の方には難しいと思いますが、内科研修医、循環器研修医の先生方には、心不全をマニュアルではなく理論的に治療するための心機能を勉強する足がかりとしていただけると嬉しいです。また、開業医の先生方にも、知識のリセットになると嬉しいです。

 今日は、拡張能の中でも弛緩の話をします。

 左室弛緩を評価するときに、一番問題なのは、左室弛緩が心筋の収縮後に元々の長さと張力に戻る過程を表すだけではなく、様々な因子の影響を受けることです。左室弛緩を決めるのは主に、1) 左室心筋の弛緩、2) elastic recoil(左室の収縮能)、3) 左室後負荷、4) 左室前負荷、5) loading sequence6) 弛緩の均一性が挙げられます。

 左室心筋の収縮と弛緩は鏡面像のようなもので、収縮が悪いと必ず弛緩も悪くなります。また、左室がどれだけの距離まで収縮できるかということも重要です。バネをぎゅっと圧迫すると、離した時に慣性が働くため元の長さより長くなります。勢いよく伸びた心筋は左室の弛緩速度を速め、左室を陰圧にします。この力をelastic recoilといいます。左房と左室の圧較差を大きくすることにより、左室の充満も増強されます。左室収縮末期容積が小さくなれず、大きくなると、弛緩に要する時間が長くなります。弛緩は後負荷の影響も受けます。収縮期血圧が上がると、左室収縮末期圧が上がります。2階からものを落とすと、同じ初期速度であっても、1階から落とすより地面に到着する時間がかかるように、左室収縮末期圧が上がると弛緩時間は遷延します。実際は、左室の収縮力がいい場合はさほど影響は受けません。しかし、左室の収縮力が悪い場合は、後負荷が上がると収縮時間も延び、弛緩にかかる時間も長くなります。左室の前負荷も同様で、前負荷が増えると心収縮時間が延びるため、心不全において弛緩時間は延長します。

Loading sequenceは左室側から見た反射波の影響を示します。左室から駆出された血液の波動は、末梢の動脈の分岐部などから左室の方に反射波と返ってきますが、動脈硬化で大動脈コンプライアンスが低下すると、反射波の返ってくるスピードが速くなります。普通、反射波は拡張期に返ってくるのですが、大動脈のコンプライアンスが低下している場合左室が収縮を終わろうとする収縮末期に反射波が返ってきます。そのため、左室は休もうとしているのに反射を押し返す分余分な時間がかかり収縮時間が伸び、収縮の鏡面像である拡張時間も伸び、結果として弛緩が遷延します。

 左脚ブロックによる左室の非同期運動が、左室の収縮力を落とすことはよく知られていますが、拡張期の非同期性運動も左室の弛緩を遷延します。潜在性の心筋虚血があった場合も心拍数が高くなると非同期性運動がおこったりします。ちなみに、弛緩は速度を評価する指標が臨床上少なく時間で評価することが多いので、弛緩が悪くなるときに弛緩が遷延するあるいは延びるという言葉を使います。

2014年8月21日木曜日

ケーブルテレビ放送


8月20日ケーブルテレビZTVの収録がありました。来週8月25日から1週間「教えて先生」という番組で運動についてお話をいたします。


三重大学医学部総合診療部竹村教授から推薦された企画で、心臓についてお話をということでしたが、ZTVの方と運動の重要性についてお話ししたいとお願いして内容を変更していただきました。誰かパートナーを紹介してくださいと言われたので、3度しかお会いしたことがないですが、仕事の文章では何度もやり取りをしていて、運動に対して造詣の深いみどりクリニックの瀬戸口院長と組ませていただきました。循環器内科から見た運動、スポーツ整形外科医から見た運動の違いがわかり、やっていた私としては面白かったです。ぜひ、ご覧下さい。


2014年7月31日木曜日

心臓リハビリテーション学会

 先々週は開業5周年を無事迎えることができました。ありがとうございました。

 
 以前よりお話しさせて頂いているように、診療の傍ら、全国の医師の先生方の、高血圧、心不全、COPD、糖尿病、心房細動、逆流性食道炎など様々な疾患の診断の仕方、治療の仕方について講演をさせて頂いております。遠方にお招きいただいたときは、午後を父にお願いしてお休みさせていただくことがあります。

 先々週は、講演が多く、午後休診が多くご迷惑をおかけいたしました。火曜日は埼玉県、水曜日は広島県、金曜日も広島県にて講演をさせていただきました。多くの先生方にお集まりいただき、どのように自分のところにきた患者様を治療するかということに重点をおき、お話しさせていただきました。

 翌日、朝から外来があるので、夜のうちに帰ってこないといけないので、新幹線でお弁当が多いのですが、広島駅ビルでお好み焼きをゲットしました。ピンボケですいません。



 タクシーの運転手さんに、教えていただいた麗ちゃんというお好み焼き屋さんで、広島焼きです。中を焼きそばと焼うどんとが選べるのです。うどんを勧められましたが、食べたことがなかったので、ミックスにしました。うどんが美味しい!なんかあっさりするんですよね。広島風お好み焼きやさん行かれる機会があれば是非お試しください。ちなみに、広島で広島風というと、怒られるそうです。都市伝説化もしれませんが。

 土曜日は、京都市で心臓リハビリテーション学会が開催されました。会員数10,000人を超える循環器系では2番目に大きい学会です。そこで、心不全とCOPDを併せ持った患者さんをどのように治療するか、ランチョンセミナーでお話しさせて頂きました。ランチョンセミナーというのは、演者以外はみなさんお弁当を食べながら聞いいていただきます。立ち見もたくさんでるほどの盛況でした。

 先々週は移動の新幹線が3本とも途中で止まって、ついていない移動でした。今週は、木曜午後の日帰り講演だけで、休診はありません。


2014年7月17日木曜日

開院5周年

本日、新規開院してちょうど5年となりました。父の大西内科時代からお越しいただいている20,000人の患者様、大西内科ハートクリニックとなってから今日までお越しいただいた6,588人の患者様には、数あるクリニックの中で当院を選んでいただいたことに心より感謝いたします。また患者様をご紹介いただいたクリニックや病院の先生方、病診連携で当院の患者様を加療していただいた先生方にもこの場をお借りして感謝申し上げます。皆様のご期待にお応えできるよう、これからも誠心誠意患者様の診察に力を入れて頂きたいと思います。これからも、よろしくお願い申し上げます。



「大学病院の医療レベルをカジュアルに提供させて頂きたい!」「あなたの健康について一緒に考えましょう。」という2大コンセプトで今まで、やってまいりました。開業して5年が経ち、患者様達より逆にいろいろなことを教えて頂きました。そこで、新しい考えが浮かびました。

「100歳になっても歩いて通院していただく」
 高齢者の方が増えてきました。内のクリニックの特性上心臓が悪い方が多いです。しかし、心筋梗塞を起こされ、100歳で歩いて通院されている方が見えます。いかに歩くかということが健康な歳の取り方として重要ではないでしょうか。これからも、さらに歩け歩けというお話をさせて頂きます。どこまで歩けばいいのか、どのスピードで歩けばいいのか、患者様によって異なります。一緒にゴールを探していきましょう。

「女性に優しい医療」
 30歳ー50歳の女性の方は、大変です。独身、既婚、子供がいる、いない、介護の両親がいる、いないなど、それぞれの立場で様々な問題を持っています。いろいろな要因でバランスが崩れ、悪循環に入り、軽くて治る病気が治らなくなるということもあります。先日も、ある40歳代の女性の方が動悸がするけど、どの病院も更年期としか扱ってくれないと言われてみえました。精密検査をすると、運動時に命に関わる心室頻拍が見つかり、大学病院でカテーテル治療で完治されました。何を申し上げたいかというと、この年代の女性はある意味医療を最も受けれない方々なのです。みなさん頑張って自分のことは後回しにされてみえます。そのような方たちをサポートしたいと思っております。循環器じゃないなと思っても、違うということを確認することも重要です。一緒に答えを探していきましょう。薬を飲むことだけが治療ではありません。

「転勤族の方々にも後期戦略で}
 県外の先生方からもご評価を頂き、東京大学など大学病院からクリニックまでいろいろな先生方から、転勤後の通院医療機関として当院をご紹介いただけるケースが非常に増えてまいりました。いわゆる転勤族の患者様に対しても、ずっとかかっていただいている患者さん同様、10年先、20年先を考え、ベストな治療を提示させて頂きたいと思っております。転院の時には、紹介状を作成し、医療が中断することなく、リレーのバトンを手渡し、患者様が30年後に幸せに歩ける姿を想像していきたいと思います。

 最後になりますが、県外を中心に全国の大学からクリニックまで様々な先生方に、高血圧、心不全、COPD、心機能の講演をさせて頂いております。昨年は150回、今年も今までで70回、予定で後40回講演をさせていただく予定であります。遠方のため、やむを得ず午後休診(理事長は診察)させていただくことがございます。ご迷惑おかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。お電話で事務にお問い合わせいただけると幸いです。

 暑さも厳しくなる折、くれぐれもご自愛くださいませ。


2014年6月30日月曜日

心機能について思うこと(13)~若き循環器医へ~わ

この院長ブログの心機能について思うことが9月書籍として発売することが決定しました!!今、600枚の原稿締切7月末に向けて鋭意執筆中です(まだ半分^^;)さらに、12月には第2弾!!。その2冊の売れ行き次第では、来年の夏に心機能の教科書の編集をさせていただけそうです。みなさん、応援お願いします。

今回は、ど真ん中左室拡張能についてお話をします。左室拡張能というと、左室の拡張期の機能か、どこからが拡張期かといろいろ人によって意見が異なりますが、おおざっぱに分けて考えてみます。
 左室は収縮が終わると大動脈弁が閉鎖します。左室容積を変えることなく急速に左室圧は低下します。これを等容性拡張期、弛緩(relaxation)といい、収縮後の心筋の元の長さにもどりやすさを表します。左室圧が十分下がると僧帽弁が開放され血液は左室に流れ込みます。これを、左室の充満(filling)といい、左室への血液の入りやすさを表します。また、左室の充満に関係する要因として、左室の硬さ(stiffness)が重要です。このような、拡張期に起こる様々なプロセスを全部ひっくるめて左室拡張能と言います。漠然と左室拡張能と話すと、話がかみ合わないことも起こりうりますので、弛緩、充満、左室の硬さと分けてお話をしていきたいと思います。

拡張能を考える時に重要なことがあります。それは、拡張能は収縮能、左室の前負荷、後負荷、心拍数の影響を大きく受け、独立して評価することは臨床上難しいことです。心機能を考える時、どのように心拍出量を出すかという視点で考え、そのひとつの要因としての左室拡張能と考えて下さい。

では、なぜ拡張能が評価されなければならないのでしょうか?ひとつには、左室拡張能、特に弛緩能は左室収縮能が障害される前に障害されてくる、異常値がでてくるということから、左室機能障害の早期診断に役立ちます。また、心不全患者においては、独立した予後、重症度の予測因子であり、患者のリスク評価に用いることができます。ひとつのパラメーターではなく、弛緩、充満、硬さのいくつかを組み合わせて評価していくことが重要です。

左室弛緩とは左室拡張能の等容性拡張期を構成するもっとも重要な因子で、心筋が収縮後に元々の長さと張力に戻る心筋自体の能動的な過程です。弛緩で重要なのは、どれくらい早く弛緩できるのかという速度と、どこまで弛緩ができるかという距離です。弛緩の距離は、臨床上評価が難しいので、一般的に弛緩というと弛緩の速度を指します。臨床上、左室弛緩の開始は大動脈弁が閉じるところとなっていますが、終了がどこかは実際難しい。僧帽弁が開いても左室の弛緩は続いているからです。臨床上では大動脈弁が閉じてから僧帽弁の開くまでに間の等容性拡張期の左室圧で評価せざるを得ません。


 どのような指標が用いられているのでしょうか?一番簡易なのが、カテーテルで求める等容性拡張期の左室圧を時間で微分した最大値(-dP/dt)や、心エコーでも求められる大動脈弁が閉じてから僧帽弁が開くまでに間の時間である等容性弛緩時間(isovolumic ralxation time:IRT)でしょう。より精確には、その圧が指数関数に近似することからその時定数が用いられます。時定数にはふたつあって、ひとつは弛緩したときの左室圧が0になると仮定し、P(t)=P0e-t/TL という式で近似するという考えです。Po-dP/dtが最大となる時の左室圧、t-dP/dtからの時間、TLは時定数です。これをWeiss(zero asymptote)とよびます。ただし、弛緩したときに左室圧は0より小さくなるので誤差が大きいため、最近はbest fit(non-zero asymptote)を用いることが主流です。P(t)=(P0-Pb)e-t/TD+Pbという式で近似します。Pbは左室が収縮末期容積のままで完全に弛緩した時の左室圧、TDが時定数となります。Pbは実測できないので、左室圧波形から0でない一番fittingがいい左室圧をPbとして、TDを求めます。簡単なプログラムがあれば、式にすると複雑ですが左室圧だけで求めることができます。組織ドプラーで求める僧帽弁輪の長軸方向の速度(E’)が時定数と相関すると言われていましたが、最近は否定的な論調も多くなっています。

2014年6月22日日曜日

Marburg

 5月末に慢性呼吸性閉塞性疾患(COPD)の国際会議にお招きいただき、ドイツのMarburgで討論をしてきました。

 

 Marburgはフランクフルトから車で約1時間走ったところにある大学都市です。戦火を逃れた古い街並みが続く美しい街でした。


 木曜日の朝9:45の名古屋発の直行便を用意していただいていたので、朝7時の高速船に乗る予定を組んでいたのですが、前日クリニックの書類整理を2時までしていたため、寝坊して起きたら6:40でさすがに慌ててそのまま飛び出したら、携帯、パジャマ、ドライヤー、シャンプー、カメラ、コンセント変換器、腕時計忘れて、財布に2万円しかなくてさすがに焦りました。

 一番の名所は、ドイツ国内で建設されたもっとも古い純ゴシック建造物であり、ケルン大聖堂のモデルになった聖エリーザベと教会で1283年設立されました。


 素晴らしい建物で、尖塔が空にどこまでも伸びていくように思えます。また、グリム兄弟が通った大学のある街なので、彼らにちなんだモニュメントも街に点在しています。


 ただ、こういうモニュメントは少し景観を邪魔する場合もあるというのは、日本でも同じことかもしれません。


 この町は最近マールブルグ熱というエボラ出血熱の第一号がでた街です。その病院で仕事でしたので、その救急部をみてきました。すごい感染症管理でした。外には救急車が止まっていました。日本のと違って大きなドイツ人4人が立って作業できるスペースが確保されていました。驚いたのは、メルセデスの電気自動車でした。



 そして、お約束のビール!木曜に出て、仕事して月曜からもどって外来の弾丸ツアーでした。




2014年5月24日土曜日

Krispy Kreme Doughnuts

先週末は、横浜で仕事でした。子供達にお土産何がいいというと「名古屋でKrispy Kreme Doughnuts買ってきて」と言われました。

「シュウマイとかおいしいよ?」
「ミスタードーナツ閉まっているから、ドーナツ食べたいの。」

確かに、津駅内のミスタードーナッツは改装のため7月まで閉店中です。

ちょうどイースター仕様のドーナツが売っていたので購入。


Krispy Kreme Doughnutsには個人的な思い入れがあります。第一号店が、私が働いていたNorth Carolina州のWinston-Salemという町にあるのです。人口15万人くらいの小さな町で、名前の通り、WinstonやSalemなど以前はアメリカのタバコのほとんどが作られていた町で、町の別名がタール・ヒル、「かかとにタバコのやにがつく」という名称でした。そこで、禁煙指導するのは大変なことです。汚い街かというと、決してそうではなく、アメリカ人の住みたいまちのひとつにあがるまちです。いいタバコができるほど環境のいいまちで、環境汚染を作るタバコを栽培しているというのも皮肉なものです。

その、Winston-SalemにあるKrispy Kreme Doughnutsでドーナツが焼けると、サイレンがお店からスピーカー越しにまちになるんです。そうすると、みんなぞろぞろとドーナツを買いに行く。ドーナツ12個入れるのにどれだけ時間がかかるんだというようなゆっくりの店員さんが、ゆっくりドーナツをいれてくれるのですが、それが笑えるほど雑なんです。時間の流れが違うんだなと感じていました。

Krispy Kreme Doughnutsのパッケージを見ながら、ドーナツをほおばるといつもノスタルジックな気分になります。

2014年5月14日水曜日

平等院鳳凰堂

 先日のGWに平等院鳳凰堂に行ってきました。当時の色調が再現されており、素晴らしく、堪能しました。新名神ができてから、鈴鹿―四日市間が激混みするため、名古屋に行くのに恐ろしく時間がかかるようになりました。一方、京都に行くのに便利になり、宇治はすごく近く感じます。

 うちには2歳のトイプードルがいるので、お出かけはイヌがいけるところが前提になります。最近は、公園がイヌ禁止のところが多く、子供たちとイヌと公園に行きたいのですが、行けないのが現状です。私が子供のころは、家族でとイヌといろんな公園に行って、イヌにボールを追わせていたり楽しかったので、残念な気がします。



 イヌといっしょに行ける一番いい場所が、京都の寺院です。お寺の中には入れませんが、境内はお散歩が可能です。犬も大喜び。内のイヌも、国宝を前に大喜びしていました。単に長いドライブの後の散歩が楽しかったからだと思いますが。また、食べ物屋もイヌOKの場所が多くて、助かります。お昼に、少し寒かったので、温かいお蕎麦を頂きました。


 帰りにイヌOKの和風カフェ中村藤吉本店でお茶をいただこうと思いましたが、2時間待ちであきらめて、take outを買って宇治川沿いで頂きました。甘みがほどよい抹茶ゼリーで、美味しかったです。


 三重県ももう少しイヌがいける場所があるといいですね。ちなみに、おかげ横丁はOKです。

2014年4月30日水曜日

警察医

県警の捜査1課の刑事さんに頼まれ、ボランティアで警察医をしています。夜に講演でお手伝いできない時もありますが、連絡の取れたときは検視のお手伝いをさせていただいています。いろいろな事を勉強させていただいています。いろいろ気づかされます。私達は血圧の数値を下げたり、血糖値を下げたりしているのではなく、血圧が高いことによって生じる脳卒中や心筋梗塞や心不全を予防しているのだと。そして、心臓の持病がある方を年に4-6回しか診ない先生もみえますが、それは危険であると。来ていただいた時に、症状を言わない方も結構多いのです。特に男性の方に。数回症状があってやっとおっしゃる。その1回が危険かもしれません。来ていただいた皆さんが、安全に生活できるよう、これからも頑張っていきたいと思います。




2014年4月20日日曜日

ポップコーン

ポップコーンは、普段食べないけど、あるシチュエーションでは必需品です。私の場合、ポップコーンがいるシチュエーションは、映画館とディズニーランド。ディズニーランドのポップコーン、おいしくて食べながら移動しますが、帰りに子供たちが家でも食べたいというので、追加で入れてもらっても、不思議と家では手が伸びない。アメリカ留学中、映画館ではみんあバケツみたいなポップコーンをほおばっていました。しかもキャラメルコーティング。ディズニーにもあるし、マイカルの映画館にもありますが、甘いんだけど映画館ではなぜかちょうどいい。

Hill Valleyのポップコーン。
アメリカをほうふつさせるチーズ味とキャラメル味が入っているんだけど、すごいアメリカンなんだけど、家でも食べたくなる感じ。とても患者さんにはお勧めできないですが、健康な方はお試しを。思いっきりアメリカンです。

2014年4月15日火曜日

トマト

1番好きな野菜は何かと聞かれれば、迷わずトマトと答えます。栄養価も高いし、リコピンも多いし、カリウムも多いと理由はいろいろつけられますが、一番は美味しいことです。特にこの時期のトマトは美味しい。生も好きだけど、加熱したトマトはこくが出て、特に美味しい。加熱したトマトのうまみ成分のグルタミン酸は昆布のうまみ成分に近い。だから、日本人はイタリアンが好きなのかもしれません。
 
 
三重県は食材がうまい。これは、近くの農家から頂いたトマトですが、もぎたては格別です。三重は牛肉、豚肉、魚介類が有名だけど、エスカルゴも美味しいし、梨もいちごも美味しい。野菜も美味しい。お米も美味しい。糖尿病になったりすると仕事上食事指導はしますが、申し訳ない気持ちでいっぱいです。美味しいものを少量食べるというのを若いころから心掛けるのが重要ですね。

2014年3月17日月曜日

The City Bakery

最近、関東での講演が多い。開業医の先生や病院勤務の先生方に、心不全、高血圧治療、糖尿病、COPDという呼吸器の病気の診断と治療法についてお話しさせていただいています。外来診療があるので、できるだけクリニックを休まない計画を立てると、日帰りになる場合が多くなります。問題は食べ物で、お弁当ばかりになると、食塩の過剰摂取が気になります。また、野菜不足が気になります。野菜は食物線維が多いだけではなく、カリウムが多いので、身体の塩抜きにもいいのです。特に生に近い形で食べればいいのですが、サラダばかりだと飽きてしまいます。そこで、バーニャ カウダーをよく食べます。アンチョビの塩気は気になりますが、少量dipして楽しみます。

今回、ご紹介するのはThe City Bakeryのバーニャ カウダー。品川駅構内にあり、帰りたいときに新幹線にすぐ乗れるので使い勝手がいい。見た目も野菜の花束みたいで、可愛いでしょ。

特にアルコールと合うので、グラス2杯のワインとバーニャ カウダーと、付け出しのパンで十分。パンがおいしくて、食べ過ぎちゃうのが痛いですが。お値段は1500円前後と少しお高めですが、いろんな種類の野菜が取れます。ついカブをかじってから、ブログに載せよってお店の人に許可を得て写真を撮ったから、カブがないのが残念です。出張の帰りに是非!

2014年3月9日日曜日

心機能について思うこと(12)~若き循環器医へ~

今日は心拍数と心収縮力との関連についてお話しします。

心機能の評価をする時、注意が必要なのが、心拍数です。心拍数が上がれば心収縮力は増えます。これを、positive Force-Frequency Relationship(FFR)と呼びます。では、上げれば上げるほど収縮力は上がるのでしょうか?単離心筋では、上げすぎると急に細胞は死んでしまいます。カルシウムのoverloadになるのでしょうか?動物実験では、指標により異なります。+dp/dtは心拍数160くらいで頭打ちとなりますが、Eesはずっと上がっていきます。生体では、前負荷の関与が影響するからです。
心不全では、どうでしょうか?

収縮不全では、程度によりますが、FFRは消失します。だから、心拍数が上がると不利になる一因です。また、右房pacingすると、心拍数110/分前後で、Wenchebachのblockが起こり、ちょうどそれくらいから、左室が十分広がれなくなります(incomplete relaxation)。だから、心不全では心拍数110/分前後までに抑えるようにしないと不利だと思います。

拡張不全では、どうでしょうか?FFRは保たれています。ただし、前述したように、心拍数が上がると一回拍出量が下がるので、その効果は臨床上相殺されます。

心拍数が遅ければいいのかという疑問があります。心エネルギー効率は、心拍数が上がれば悪くなります。ただし、心拍数50/分以下になると、またエネルギー効率は、悪くなります。左室の収縮能が良い、特に小さ目な心臓、例えば拡張不全では、心拍数が落ちすぎると、一回拍出量が落ちるので、不利になります。一般的に、心拍数は60〜80/分がいいと思います。

不整脈の時、心機能評価する際重要な、概念に移ります。心収縮能は、直前(RR1)と、その前(RR2)に規定されます。


長いextrasysytolic interval (RR1) の際に、収縮力は増大します。これをmechanical restitutionと言います。また、 intervalの前のbeatとの間隔(RR2)が短いときに収縮力が増大します。これを、postextrasystol systolic。RR1/RR2の比が1になうところが、その心臓の固有の収縮性となりますので、心房細動の際には2拍心拍が似ている後のビートで解析するといいでしょう。


2014年2月22日土曜日

COPD

日本の今後10年の医療の方向性を示す、健康日本21では、COPDを始めて、心血管病や糖尿病と同じくらい重要な疾患であると位置づけました。

国民への認知度を増やしましょうということになりました。

COPDというのは、タバコ害による病気で、循環器の患者さんの20%くらいに認められます。咳、痰、息切れが主症状で、呼吸器疾患のように思われますが、それだけではありません。

私も下記の雑誌に執筆しておりますが、今後は高血圧や糖尿病と同様に扱われる疾患で、動脈硬化も起こす全身病です。


周りの方で、咳、痰、息切れがある方には、是非受診をお勧めください。早期発見、早期治療です。

タバコはくれぐれも注意してください。

2014年2月13日木曜日

インフルエンザ測定器

インフルエンザは猛威を振るっています。早期発見早期治療が重要であるが、2月になると微熱型のインフルエンザが流行りだします。インフルエンザ簡易測定器では判断がつかない場合も多く、困る場合も多かったのが事実です。臨床症状でインフルエンザと診断もできますが、学生は症状がなくても発症から5日休まないといけないので、家族の負担も大きいので、グレーな診断は困ります。

そこで、新しいインフルエンザ測定器を購入しました。

http://influlab.jp/

16倍まで感度を上げるので、少ないウイルス量でも捕まえることができる。

実際、微熱の患者さんや、家族がインフルエンザに罹っているが悪感だけあり熱のない患者さんのインフルエンザも見つかり、スタッフともども感心しています。科学の進歩は素晴らしい。

2014年2月9日日曜日

心機能について思うこと(11)~若き循環器医へ~

そろそろ収縮能のお話をします。少し難しくなります。

臨床上、何が一番いい収縮能の指標だと思いますか。前にお話ししたように、心駆出率(Ejection Fraction:EF)は収縮能の指標としては、弱すぎますよね。

私は、左室圧容積関係を得意技としているので、左室収縮末期エラスタンス(end-systolic elastance:Ees)と言いたいところですが、私はpreload-recruitable stroke work(SW) だと思います。

心収縮能を考える時、何が重要か考えてみましょう。収縮能といったときに何を指しているのか考えないと、話が食い違っていきます。
1)心筋固有のの収縮力(myocardial contractility)、2)左室という球体としての収縮能(ventricular contractility)、3)与えられた前負荷に対してどれだけ血液を送り出せるかというと心機能(ventricular function)、4)心臓をポンプとして考えた時どれだけ血液をだせるかという能力(ventricular performance)の何を指しているか頭で明確になっていないといけません。

Myocardial contractionは単離心筋や乳頭筋を用いてどれだけ縮むかみることで求められます。

Ventricular contractilityは心カテの時に取るpositive dp/dtとか、左室圧容積関係から求める収縮末期圧容積関係(end-systolic elastance, Ees)あるいはEmaxで求められます。EesあるいはEmaxは左室前負荷、後負荷の影響を受けない指標で大変有用です。Emaxは左室圧と容積の積分値のmaxを求めるので、求めづらく最近はEesを用いるのが主流です。この指標は、左室固有の硬さを反映するので、左室の容量が小さいと大きく出るという欠点があります。拡張不全の患者においては数値はsupernormalとなります。同一個体の収縮力の変化に対しては鋭敏ですが、個体間評価においては限界があります。



Ventricular functionは、前負荷に対し左室がどれだけ力を発揮できるかという指標で、臨床的に重要な我々が知りたい収縮能というと、これが一番いわゆる左室の収縮能を反映するのではないかと思います。前負荷を変化させた時のdP/dtの変化(preload-recruitable dP/dt)か、前負荷を変化させた時のSWの変化(preload-recruitable SW)ということになります。ただ、求めにくい指標なので臨床上用いるのは極めて難しいです。しかし、この数値はかなり鋭敏に左室のventricular functionを反映します。そこで、EFやstrainやmitral annulo velocityの様な簡易なparameterで代用されるわけです。EFが悪いと言っているわけではなく、意味と限界を知って欲しいと思っております。

Ventricular performanceはSWや一回拍出量(stroke volume)で求められます。臨床上、最も必要なのはSVだというのは、個体を維持するために最も必要な心機能を反映する指標だからです。

たとえば、左室非同期運動があれば、myocardial contractionはいいですが、ventricular function/performanceは落ちています。

繰り返しになりますが、何を見ているかが重要です。


2014年2月8日土曜日

衣笠さんと講演

今日は、午前中の診療後、大雪の中東京で、衣笠さんと一緒に講演しました。

彼とは二回目のコラボですが、本当にいい人です。プロとしての考え方がよく似ていて、いいコンビかなと思います。目的をはっきりとする、患者さんに対してもいつも思っています。

私は、心不全患者さんをたくさん診てきましたが、心不全になってから治療するより、心不全にならないように予防する方が、どれほど患者さんにとって楽かと思います。高血圧、糖尿病、脂質異常症、COPDの治療は全部心臓病、脳血管病予防のためです。ゴールをはっきり見据えて治療にあたりたいと思っています。


2014年2月5日水曜日

テキーラ

今は慣れましたが、もともと大勢の前でお話をするとか、知らない人とお話をするのが得意ではありません。小さい頃は極度の恥ずかしがり屋で親の後ろに隠れているような性格でした。大学で研究を始めて、留学先の恩師リトル教授に、「研究者はセールスマンだ。自分の研究を売ってこい。」と言われ続けて、自分の哲学、主張を正しいものにするには、人前で話さないといけないといけないと思いました。しかし、もって生まれた性格は変わらず、客観的に自分を演じるようにすると、少し楽になりました。今でいうキャラを作って人前にでるみたいな感じです。とは言っても、500人以上の前で講演をしたり、英語で講演をしたりすると、その場はキャラの自分が落ち着いていますが、前日はひどい嘔気がおそってきて、講演後は妙に一人になりたくなります。そして、ホテルのBarでクールダウンします。時折、ぼーっと意味のない話をしている感覚って、海辺と似ているんですよね。



今日は、テキーラのお話し。テキーラというとミックジャガーが広めたテキーラ サンライズが有名で、カーンと一気飲みみたいなイメージが強いけど、実はロックでウイスキーみたいに飲むお酒です。芳醇な香りがして、ゆっくり楽しめます。サボテンで作られていると勘違いしているひとが多いけど、アガベという植物の葉を切るとパイナップルみたいな形のができて、それから作られるそうです。是非、お試しを。結構強いですから、弱い方にはおすすめできません。

2014年2月2日日曜日

心機能について思うこと(10)~若き循環器医へ~


今日はloading sequenceという少しマニアックな話をします。

 

反射波の左室に対する影響ってご存知ですか?左室から駆出された血液の波動は、主にbifurcationのところで跳ね返ってきて、左室の拡張期に大動脈弁に到達します。末梢血管が強く締まった状態や、大動脈の動脈硬化で大動脈コンプライアンスが低下し、収縮末期に左室に波動が帰ってきます。左室は収縮を終わろうとしているのに、波動が帰ってくるため、収縮時間が延びてしまい、鏡面像である拡張時間も延びます。すなわち、左室弛緩の延長が起こるわけです。

 

 

専門用語でいうと、左心室の収縮のパワーがearly systoleからlate systoleに移動し、左室弛緩が延長します。この左室の駆出様式の変化をloading sequenceの変化と言います。左室の弛緩が延長するだけではなく、左室の収縮は等容性収縮期にエネルギーが規定されているため、収縮後期にパワーがいると、かなりエネルギー効率が悪くなります。Loading sequenceの増悪に影響を与える因子は、左室収縮力の低下、末梢血管抵抗の増大、大動脈コンプライアンスの低下、大動脈の長径が短いこと、心拍数の低下が当てはまります。これって、高齢女性の拡張不全のprofileに似ていませんか?これを大動脈側から見た概念が中心血圧です。我々は左室側から見ますけどね。

2014年1月21日火曜日

心機能について思うこと(9)~若き循環器医へ~

今日は、左室の後負荷について考えてみましょう。

左室の後負荷は、末梢血管抵抗、大動脈コンプライアンス、特性インピーダンスなどいろいろあります。

左室前負荷が一定の場合、末梢血管抵抗が増加すると著明に一回拍出量(SV)は下がります。収縮末期圧が上昇し、左室の壁応力が増加し、すなわち左室に強い負荷がかかり、BNPは上昇します。臨床上、急激な末梢血管抵抗の上昇は、SVの低下をきたし、SVを上げないといけないので左室拡張末期容積を増やそうとします。しかし、前回述べたように右室や心外膜が邪魔をするとexternal constraintが働き、左室拡張末期圧(前負荷)が急激に上昇し、左房圧の上昇、肺静脈圧の上昇、肺うっ血が起こります。



ここで、末梢血管抵抗を規定するのは毛細血管ではなく、小動脈であるという認識も必要です。ですから、平滑筋のある動脈を広げるような薬剤が必要になるわけです。前負荷を規定するのも毛細血管ではなく、その後にある静脈です。

大動脈コンプライアンスは、大動脈を短軸から見た時円の中心から周りの壁を押す広がりやすさと考えてください。コンプライアンスが下がると、左室圧が低い所から駆出が始まり急激に左室圧は上昇し、収縮末期圧は上昇します。コンプライアンスが低下すると反射波が返ってくるスピードが速くなります。普通、反射波は拡張期に帰ってくるのが、左室が収縮を終わろうとするときに反射波が帰ってきます。そのため、収縮時間が伸びて、鏡面像である拡張時間も伸びて、拡張機能障害が生じます。中心動脈圧が上がっている時を考えてください。この状態を左室のloading sequenceの変化と言います。左室のエネルギーは収縮初期に効率よくなるよう規定されており、収縮末期の押し込みは想定外なので、エネルギー効率的にもよくはありません。ただし臨床上はエネルギー効率は問題ない程度の低下です。


特性インピーダンスは、大動脈が長軸方向への伸びやすさと考えてください。特性インピーダンスが下がると、駆出時に直線的な左室圧の上昇となりますが、駆出開始圧や収縮末期圧は変わらないので臨床上はあまり問題ありません。

2014年1月18日土曜日

アナウンサーとのコラボ

一昨日、元NHKアナウンサーの矢野香さんと一緒に多治見で講演させていただきました。矢野さんのお話は大変刺激的でわかりやすく、楽しかったです。

 

違うフィールドの方とのお話は、大変参考になります。先日、リッツカールトンの元社長の高野登さんと一緒に講演させていただいた時も感じましたが、職種が違っても、プロとしての取り組みの基本は同じだと思います。自分がどうかということより、相手がどうかということを考えて自分がプロとしてどう振る舞うかが重要だと思います。マニュアルができて当たり前、その後のひとつができるかどうかだと思います。来月はまた、国民栄誉賞の衣笠 祥雄さんとコラボがあるので楽しみです。



会場で、久しぶりに大学時代のテニス部の後輩達に会いました。すっかり、貫禄がついてました。

2014年1月10日金曜日

エビスビール

昔はビールが大好きだった。というか、よく飲まされたもので、アルコールが薄いビールが一番無難でしたので、“何飲む?”と聞かれると、“ビールでお願いします"って、答えていた。

夏の暑い日に冷えたビールをゴクゴクいくのは、想像しただけで、気持ちいい。

ところが、歳をとったせいか、ビールを食べるとお腹が膨れてしまって、ご飯が美味しくなくなり、外でも乾杯だけで、日本酒やワインなどの醸造酒になっている。

家でも、缶ビール半分しか飲めないので、もったいないから日本酒を少しだけ頂いている。

今回、エビスビールを頂き、久しぶりに家でビールを飲んだら、美味い。白い方は爽やかで、赤い方はほどほど苦味もある。尿酸値を気にしなければいけない世代には危険だ!

心機能について思うこと(8)~若き循環器医へ~

今日はpericardial constraint (External constraint)の話をします。

左室は右心房と心外膜に囲まれています。心外膜がないと左室は左室に流入した血液によってだらっとぶら下がってしまいます。つまり大きくなりすぎることができるわけです。そうすると、左室内腔が大きくなり、単位心筋あたりにかかる力すなわち壁応力があがり、心筋にとって強いストレスとなります。例えば、イヌの開胸してクリスタルをいれるモデルでは、心外膜を剥ぐため心駆出率(Ejection fraction:EF)50%を切ってきます。同じイヌでも、カテーテルやエコーで求めた数値と異なります。このように、正常では心臓を守るためにいる心外膜が、心不全の時には邪魔になります。

左室収縮能が落ちている左室に、急激に血液が返ってくると、心外膜を押し広げる時間がないので、心外膜と右室に押されます。それによって外因性に左室拡張末期圧(end-diastolic pressure:EDP)が上がったように見えます。これがexternal constraintです。心不全の患者でEDP8mmHg以上となれば1/3は外部からの圧迫による上昇で、実際の左室の前負荷ではないということです。



たとえば、収縮性心外膜炎のように心外膜ががちがちの場合、左室が大きくなれない。左室に返ってくる血液量は多く、EDPも上がるけど、そのEDPの増加は外部からのexternal constraintによるもので、左室固有のEDPではない。左室径は大きくならないこともあいまって、左室の壁応力はあがらないから、左室壁応力を反映するバイオマーカーのBNPが上がらないのです。

External constraintがかかっている患者において、利尿薬などで静脈還流量を減らすと、右室が小さくなり、external constraintが下がるため、一過性に一回拍出量(stroke volume: SV)が増加します。それ以上減らすと、左室のfillingが減るため、SVは次第に低下していきます。


次回は後負荷である末梢血管抵抗、大動脈コンプライアンス、特性インピーダンスについてお話をします。

2014年1月8日水曜日

モッツァレラバー

皆さん、一番好きな野菜は何ですか?

僕はトマトが大好きです。四月になると、近くの農家まで直接もぎたてを買いに行きます。

合わせとしては、モッツァレラチーズ。講演後、昔は肉食系でしたが、最近は胃もたれするので、つまみとお酒で過ごすことが多いです。

こちらは、六本木ヒルズのモッツァレラバーOBIKA。ひとりでも気楽に入れてモッツァレラが美味しい。これと泡だけで十分。

2014年1月7日火曜日

心機能について思うこと(7)~若き循環器医へ~

昨年から始めた院長ブログ。おかげさまで閲覧者が1,000人を超えてきました。反応がいいので継続していきたいと思います。

今日は、左室の前負荷について考えてみましょう?

左室の前負荷とはなんですか?前負荷は左室に入ってくる血液の容量でしょうか?左室の前室の左房の圧でしょうか?



前負荷は、左室の安静時の張力を規定する重りですので、一番近似するのは左室拡張末期圧(end-diastolic pressure: EDP)です。ただし、左室拡張末期圧が8mmHgを超えると右室および心外膜からの圧すなわちpericardial constraintがかかるので、真のEDPは実際の測定値より低いので注意が必要です。

左室拡張末期容積(end-diastolic volume: EDV)は心エコーで求められるから簡便で、健常者の安静時では代用できると思います。拡張末期圧容積関係は指数関数的に変動しますから、EDPは大きくなると、指数関数にEDVと乖離していきます。また、pericardial constraintの影響を受けるので、EDPはある程度になると、EDVの増加を伴わず増加していきます。

肺動脈楔入圧(pulmonary capillary wedge pressure: PCWP)では、どうでしょうか?基本的には近似します。ただし、僧房弁狭窄症のように左房-左室間に圧較差があるときや、impaired relaxation patternのようなatrial kickが亢進した場合や、V波が増強した場合は注意が必要です。ちなみに、V波は左房の相対的なコンプライアンスを反映します。コンプライアンスが低下する状態であればV波は増高します。

臨床上では、心機能の絶対的な指標はありません。すべてのlimitationを知りながら、うまく使っていく経験値が必要なところです。だから、みなさんのうっ血の捉え方が異なるのではないでしょうか。

次回は、話が出たので、pericardial constraintについて話します。

2014年1月5日日曜日

心機能について思うこと(6)~若き循環器医へ~

右室に関して補足します。元々両生類は1心室2心房、すなわち左室が肺循環、体循環をまかなっていたわけです。なぜ可能か?それは体循環圧すなわち血圧が低いからです。身体を大きくしたり、地上から高い位置に身体を起こすためには、あるいは空を飛ぶためには高圧系が必要である。しかし、肺胞が高圧にさらされると、ガス交換に障害が生じる。太い血管にすると弾力性が損なわれ、臓器損傷が起こりやすいといったことから。何よりも肺循環系が高圧になると静脈還流圧が高くなりすぎて、心室がその負荷に耐えられえない。そこで、高圧系と低圧系と分離されたわけです。

両生類は、低圧系であったため心室壁がうすいため、心室内腔からの直接潅流で補えるため、冠動脈はありません。しかし、高圧系になると冠動脈が必要となります。大動脈から末梢ではなく、心臓の末梢から冠動脈は伸びて大動脈に繋がるといった発生形式からもわかります。ですから、低圧系の右冠動脈は、左冠動脈に比べてシンプルですよね。容積は同じはずであるのに。

このように、右室は低圧系であります。ですから、心室圧容積関係も右室と左室では大きく異なります。ここで、面白いのは、この傾きが異なるといったことより、容積を減らしていった時のV0という容積切片が0になる地点、肺でいうと残気量のようなところが右室ではかなり左、すなわち0mlに近いところにあるという点です。左室も右室も理論的には容積は同じはずです。



何が言いたいかというと、測定方法の問題で我々が思っているよりも右室のeffective volumeは大きいか、あるいは右室は定常状態においても左室に比べ負荷がかかっているかということです。右室は壁応力を逃す自由度、そのコンプライアンスが重要な因子だと思います。左室にstroke volumeを送るために容量を変幻自在に変えている。そのリミッターとなっているのが機能的三尖弁閉鎖不全症かもしれません。